まるで、火を灯さないキャンドル
精油の香り広がる、蝋のインテリアオブジェ。
ろう作家として活躍する落合可南子さんの作品、蝋から生まれたインテリアオブジェクト『 漂流物』のご紹介です。家具の製造過程で出てしまう廃棄予定の「ペーパーコード」を蝋と組み合わせたプリミティブな空気を纏った作品です。
キャンドルのようなデザインですが、この作品は火を灯さずに精油の香りを楽しめるもの。お部屋全体を香らせるのではなく、ほんのりと感じる香りを楽しむ芳香オブジェです。
目覚めをやさしく包む、朝光の香り
ベッドサイドに置けば、朝の空気にそっと溶け込む、やさしい天然精油の香りが広がります。朝の光が静かに部屋へ満ちていくように、香りが心身を包み、ゆるやかに目覚めへと導く。1日の始まりを穏やかに告げる、暮らしに寄り添う存在に。
どこか神秘的で、独自の世界観を秘めた佇まい。プレートに載せてひとつだけ飾っても、ほかのオブジェやアクセサリー、香水瓶と並べても、静かに存在感を放ちます。
あなただけの世界観を作り上げる、お部屋の小さなアクセントとして。
「廃棄される物に新たな付加価値を」
⻑い旅の先に流れ流れ海辺に漂着したモノをイメージしたオブジェクト。ものづくりの過程で生まれてしまう廃棄物に新たに息を吹き込んだ、サスティナブルな作品です。
蝋素材の魅力
落合さんが蝋という素材に出会ったのは今から数年前。ご自身の心が疲れきってしまった時、癒しを与えてくれたことをきっかけに、その魅力に夢中になったのだそう。
しかし、蝋という存在は本来は火を灯して楽しむもの。「溶けてしまうのが勿体無い」「火をつけるのが怖い」という声から「灯さないキャンドルがあっても面白いのでは」と思ったのがオブジェや花器を創り始めたきっかけでした。
私が初めて落合さんの作品を手に取った時、写真で見ただけでは気づかなかった「ぬくもり」を感じました。天然色素が生み出した絶妙な色合いと、作品によって変化する蝋の質感。月に咲く花のような、手の届かぬ存在なように見えて、すっと手に馴染む。そしてどこか素朴さも感じる。不思議な魅力を感じたのを覚えています。
一つ一つ手でこねて、丁寧に成形する。形を変え、香りを変え、異素材と組み合わせ、自由自在に着想を形にできる蝋だからこそ、一つ一つ表情の違いを楽しむことができる。落合さんの作品は、私たちの暮らしにやさしく寄り添いながら、そんな蝋の魅力を教えてくれます。