素材だけでもエコなものを。『翁再生硝子工房』が生む新たなリサイクルガラス雑貨
大人になってから好きになったものって、ありますか?
食べ物、音楽、雑貨。新しい”好き”が見つかると、自分の世界が広がったようでとても嬉しく、そしてまだまだ知らない世界と出会えるんだと、ワクワクとした心を抱きます。
最近、そんな”好き”に加わったのがリサイクルガラスの器や雑貨。一つ一つ色が違ったり、じっくり見ると小さな気泡があったり。そこにしかない「味わい」に心を奪われています。
本日は、リサイクルガラス工房を大阪府交野市に構える、翁再生硝子さんをご紹介させてください。
|シンプル、だけど心に残るデザイン
大阪市内からおよそ40分。
緑に囲まれた道のその先に、『翁再生硝子工房』が見えてきます。
アンティーク好きのご夫婦で営まれていることもあり、工房兼販売所はどこか懐かしさを感じる温かな雰囲気。納品前のキラキラと光るガラス製品とともに、笑顔の森岡英生(もりおか えいせい)さんが出迎えてくれました。
翁再生硝子工房の名前の由来やガラス作品を作るきっかけを聞くと、「父が昔、翁寿司という寿司屋を営んでいて、そこから名前をとってきたんですよ〜!ガラスに打ち込んだきっかけも、学校のデッサンで褒められた素材が唯一ガラスだったからなんです。」と濁りのない笑顔で話す、とてもチャーミングな森岡さん。
ガラス製品は機械化による大量生産が主流となる世界の中で、2011年にこの地で窯を立ち上げ、一つ一つ手作りでガラス製品を生み出す稀有な作り手さんです。
森岡さんのチャーミングさはデザインにも。ガラス作品と聞くとシンプルで凛としたイメージを持たれるかもしれませんが、森岡さんが作る製品は、人を惹きつける力があるんです。
また、SNSや工房にはシンプルなシルエットですが、ひと捻りあり心に残るデザインの製品がずらりと並んでいます。
「シンプルだけど、面白いものができたらいいなと思っているんです。この雫という風鈴も、昔うまくいかなかった時に、風鈴の口部分に切り込みを入れてみたんです。普通なら、そんなことしないと思うんですけどね。
そうしたら意外なことに、お客さまに『音色が素敵』と気に入ってもらえて。切り込みを入れたことでガラスの厚みが変わり、音色が独特になったんです。それからは、そういうものを狙って作るようになりました。」
そんな森岡さんが夏限定で製作する風鈴はこちら。
風鈴の本体はもちろん、舌(ぜつ)や短冊など全てリサイクルしたものでできているのが特徴です。どれひとつとして同じものはない音色や風情をお楽しみいただけます。
再生ガラスから生まれた風鈴「雫」 ¥4,400 詳細はこちらから |
|リサイクルガラスにこだわる理由。素材だけでも、エコなものに。
森岡さんがリサイクルガラスに特化した窯を立ち上げたのは13年前。ガラス工芸の中でも、なぜ、製作が難しいリサイクルガラスを専門に製作されてるのかと尋ねると、意外な一言が。
「実はね、ガラス作品って意外とエコじゃないんですよ。火、それもとても高温の火を使って製作するので、二酸化炭素が出てしまう。だから素材だけでもリサイクルしたもので作りたかったんです。
それと、ガラスってこうやって溶かせば何度でもリサイクル可能なんです。もちろんガラスの中でも、リサイクルできるものと、できないものとに分かれるんですけどね。ただ、役目を終えても、形を変えればずっと循環できる。そういうところに惹かれたのかもしれません。」
森岡さんが新たに生み出す製品は、使う人が喜ぶモノを作る、それ以上の想いが込められていることを改めて実感しました。
最後には、実際に作品を一つ作っていただくことに。
その中で、「溶かすガラスによって気泡ができやすいもの、できにくいものがある。溶かしてみないと分からないけど、その浮き出てくる表情の違いがリサイクルガラスの魅力なんです。」と教えてくれました。