エシカルとサステナブルの違いを解説!SDGsとの関係性や意味・取り組みを学ぼう
エシカルとサステナブルの違い
エシカルと似た言葉にサステナブルという言葉がよく同じ場面で使用されることがありますが、観点や概念が異なります。 サステナブルとは持続可能な社会を実現するための考え方です。地球環境や社会の長期的な持続性を重視します。 エシカルも同様、どちらも環境に配慮していることは同じですが、 エシカルはサステナブル(持続可能)な社会=目標に向けての必要な取り組みや価値観の一つと言えるでしょう。
エシカルの意味
ここからはエシカルについて分かりやすく解説していきます。
エシカルとは
エシカルとは直訳すると「倫理的な」を意味します。倫理的と言われても難しく、具体的にどういうこと?と思う方も多いかもしれません。
簡単に言うとエシカルとは人や地球環境、社会、地域に配慮された考え方や行動を指します。豊かな未来に向けて一人一人がより良い行動をしようとする考えが重要です。それでは大きく分けて3つの観点から考え方を説明していきます。
■社会に配慮されていること
社会的な側面では、格差の解消や貧困層の支援、地域社会の地域社会への貢献などが挙げられます
例えば地元で生産された商品を地元で消費する「地産地消」です。食品であれば、地元の商品を地元で消費することによって新鮮な状態で消費者の元に届き、地域の生産者を支援することにも繋がります。
また、輸送距離が短ければ配送にかかる無駄な輸送コストやエネルギーの削減になり環境への負担も軽減することができます。それに加え、自然災害が多い日本では被災地で生産された特産品や伝統工芸品を購入することもエシカルの考え方に含まれます。伝統技術や文化が受け継がれることは次の時代へと繋げる大切な支援です。単に被災地の経済的支援だけでなく、人々の雇用を守り新たな産業を生み出すきっかけにもなるでしょう。
それに加え、自然災害が多い日本では被災地で生産された特産品や伝統工芸品を購入することもエシカルの考え方に含まれます。伝統技術や文化が受け継がれることは次の時代へと繋げる大切な支援です。単に被災地の経済的支援だけでなく、人々の雇用を守り新たな産業を生み出すきっかけにもなるでしょう。
■環境に配慮されていること
エシカルにおいて環境に配慮されているという点は欠かせない重要な視点です。
<近年、異常気象の多発や地球温暖化など地球環境は大きく変化しています。農薬や化学肥料が使用される空気汚染やプラスチックによる海洋汚染、生態系の破壊や異常気象による農作物への影響など多くの問題が深刻化しています。経済成長と共にゴミ問題は深刻化しており、ゴミを焼却する際に発生する二酸化炭素は地球温暖化の原因にも繋がります。その中でも海に流されるプラスチックゴミ問題は近年重要視されています。軽くて丈夫で低価格というメリットから取り入れられることが増加しましたが、プラスチックは自然界に分解されにくいことと再利用されることが少ないといった懸念点が挙げられます。一度使ったらすぐに捨てられてしまうことで焼却処分しない限りは自然環境中に長期間残存し続け、適切に処理されなかったプラスチックはゴミ捨て場や河川から海に流れてしまうことがあります。プラスチックは海中で細かく砕けてマイクロプラスチックとなり、魚・鳥・海洋哺乳類などの生物が誤って摂取し、死亡してしまうリスクがあります。連鎖し、生態系へも悪影響を及ぼし生態系のバランスを崩す可能性もあるのです。
これらの問題を防ぐために環境に配慮された容器を使用したり、リサイクル素材を使用することで不必要な廃棄物の削減につながります。
また、農薬や化学肥料を使用せずに生産される商品もエシカルに繋がります。化学肥料に含まれる窒素は植物が吸わずに河川に流れ出て、河川に流れた窒素は水質汚染へとつながります。化学肥料を使用することで農作物の生産数を増やすことは可能ですが、化学肥料を使用することは微生物や土壌にもダメージも大きく、土壌品質を悪化させます。そして土壌の健康が損なわれ、農作物の生産性が減少する可能性があります。
環境への配慮は持続可能な農業を目指す上で不可欠といえるでしょう。
■人に配慮されていること
代表例として「フェアトレード」が挙げられます。最近よく耳にする方も多いかもしれません。フェアトレードとは発展途上国で生産された原料を適正な価格で取引することです。
社会全体として価格の安さが求められることによって、発展途上国の中には対価として十分な賃金が支払われていないことがあります。また、中間業者による搾取や児童労働、長時間労働、劣悪な環境下で労働していたりするなど問題が起きている場合があります。
フェアトレードは労働者に見合った価格で購入・販売することで彼らの生活水準や労働環境を改善します。
労働条件や環境への影響を改善することだけが目的ではなく、生産者や労働者の社会的な自立を目指す貿易の仕組みです。
一般的な貿易の流れとしては、生産者から消費者の私たちに多くの企業や人々が関わることで生産者の受け取る賃金がは少なくなりますが、フェアトレードは中間業者を介さずに直接のやりとりを行うことが特徴です。顔の見える取引は根本的な貿易の流れを改善し、単に貧困問題を解決するだけでなく伝統技術が受け継がれることに繋がり、持続可能な生産と安定した取引に大きく関わるといえるでしょう。
フェアトレード商品を購入することで、より生産者の人権が尊重された取引が増え、非倫理的な製造過程で生み出される商品をとめることができます。
商品やサービスを選択する上で、価格や便利さだけでなく手元に届くまでの背景にも注目したり、フェアトレードの認証ラベルのついた商品を選んだりと一人一人の意識改革が大切です。
エシカル消費について
「エシカル」な考え方や取り組みに基づく行動で近年注目されているのが「エシカル消費」。 持続可能な社会の実現に向けて実践していくべき行動として、エシカル消費は重要な判断基準といえるでしょう。 一般社団法人エシカル協会によるとエシカル消費とは「地域の活性化や雇用なども含む、人や地球環境、社会に配慮した消費やサービス」と定義しています。 購買行動の中で一人一人が商品の背景や影響を考えることが大切です。
■エシカル消費における商品選びのポイント
みなさんは日々どのような基準で商品やサービスを選択していますか? 私たちがモノを選ぶとき、少なからず環境や地球、生産者に影響を与えています。
エシカル消費はその社会や人々への影響を少しでも考え、責任ある選択をすることでより良い未来につながるでしょう。 ここからは日々の購買行動の中で今すぐ取り入れやすい行動をご紹介。 少し意識することで明日からエシカルをスタートすることができますよ。
■オーガニック商品を購入する
オーガニックは「有機」とも言われますが、農薬や化学物質を最小限に抑え添加物に頼らず、自然の恵みを生かして栽培されます。農薬による土壌・排出される地下水へのダメージだけでなく生産者の健康被害も防ぐことができます。 最近では農作物のみならず、化粧品や衣料品でも多く販売されるようになってきました。
食品では残留農薬が少ないことで環境への負担だけでなく、私たちが摂取する化学物質が減り豊富な栄養分を摂取することができます。 オーガニックを選ぶ判断基準に関して、日本では有機JAS認証という認証制度が設けられています。認証を得るには農産物の場合、種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと、遺伝子組換えの種を使わないことなど厳しい基準があります。認証ラベルや表示を知っていればエシカル商品を選択する上で一人一人の判断基準につながるでしょう。
また、コスメにおいては植物由来の原料を主成分にしていることにより肌にかかる負担が減り、アトピーや敏感肌の方に悩む方にとっても優しく、使用しやすいといったメリットがあります。
サステナブルの意味
サステナブルとは英語で「持続可能な」という意味を表します。 現在、世界各地で持続可能な社会に向けての取り組みや考え方が重視されています。 豊かな未来の実現に向けて今ある有限な資源を有効に使用し、保ち続けていくということがサステナブルといえます。 「サステナブル」は地球環境問題を改善するため、持続可能な社会の実現に向けた目標が掲げられました。この時にサステナブルという言葉が誕生し、注目されるようになりました。
エシカル・サステナブル・エコとの違いは?
エシカル、サステナブルの意味を簡単にまとめると、エシカルは「人・地球環境・社会・地域に配慮し、より豊かな未来へ向けた行動」のことをいいます。 そして、サステナブルは持続するという意味を持つので、環境・社会・経済が持続可能な状態を目指す際によく使われる言葉です。
その中で、「エコ」とは生態学・自然環境を意味する「エコロジー(ecology)」という英語の略称です。現在では「地球環境にやさしい」「公害を出さない」「体に良い」といった意味にまで広がってきており、主に環境に焦点を当てた言葉と言えるでしょう。
エシカル・サステナブルとSDGsの関係性
エシカル・サスティナブルの意味は理解できましたか? こちらではSDGsとの関係性をご説明します。
SDGsとは?
貧困・飢餓、紛争、平等な教育、気候変動、環境汚染、感染症。
人類は、一つの地球で暮らし繁栄していく上で、数多くの課題に直面しています。 このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなるという危機感から、課題を整理し解決方法を考え、2030年までに持続可能な世界を目指す国際的な目標として、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が2015年に国連で採択されました。 「地球上の誰一人として取り残さない」ことを理念とし、人類、地球およびそれらの繁栄のために設定された行動計画であり、17のゴールと169のターゲットで構成されています。
近年、注目を集める理由と背景
一つ目の理由として挙げられるのは、環境問題が深刻化しているからです。身近で感じるのは「地球温暖化」ではないでしょうか。地球温暖化とは、私たちの活動で排出される二酸化炭素など「温室効果ガス」が大気中に放出され、地球全体の平均気温が上昇している現象のことです。日本でもゲリラ豪雨や暖冬などの異常気象は、地球温暖化が大きな要因と言えるでしょう。私たちが肌で感じる「危機感」が注目を集める要因となっています。
また、二つ目の理由は、ビジネスにおけるメリットです。SDGsは国際社会が合意した共通の価値観であるため、世界の投資家は、投資先企業の「環境への配慮」や「社会貢献」、「適切な労働環境」などを重視して投資先を決める「ESG投資」に着目するようになりました。さらに消費者も、商品購入検討の際に「SDGs」を意識する人が増加しています。 つまり、SDGsに取り組んでいる企業は、社会貢献に積極的であるという認識が広がり、企業価値の向上、更なる市場の拡大につながる可能性が高くなります。そのため、取り組む企業が増加し、私たちも「SDGs」を目にする機会が増え、注目が高まっていると考えられます。
SDGsは、エシカル・サステナブル・エコと同様に「環境に配慮する」という意味合いを含んでいますが、目的や視点が異なるため、全く同じではありません。しかし、どの取り組みも私たちが暮らす「社会」「地球」にとって必要な行動に違いありません。
エシカル・サステナブルの具体的な取り組み
エシカル、サステナブルな取り組みが環境・社会に良いことは分かりましたね。ここでは、具体的にどの様な取り組みが実践されているのかご紹介します。
企業の取り組み
まずは、日本ではもちろん世界でも取り組み数が増加している、企業の取り組みを見ていきましょう。
エシカルファッション
エシカルファッションの具体的な基準については、世界100か国以上の団体・個人が加盟しているエシカルファッションの推進団体The Ethical Fashion Forumが下記の通り10の基準を記しています。
- 安価で使い捨て型の「ファストファッション」に反対する
- 生産における労働者の賃金・権利・労働環境を守っている
- 持続可能な暮らしを支えている
- 有毒農薬や化学薬品の使用問題に取り組んでいる
- 環境に優しい繊維・素材・成分を使用または開発している
- 水の使用量を最小限に抑えている
- リサイクルやエネルギー、ゴミ問題に取り組んでいる
- サステナブルなファッションの開発・促進をしている
- 環境に対する人々の意識向上に取り組み、広めている
- 動物の権利の保護に取り組んでいる
現在では多くのブランドがエシカルファッションの考えに基づき製品を生産しています。日本・海外を含めた取り組みの一例はこちらです。
■パタゴニア
オーガニックコットン、リサイクル素材を使用、購入商品の修理、フェアトレード・サティファイド縫製の採用■ステラ・マッカートニー
皮革・毛皮不使用、オーガニックコットンや再生化学繊維の使用など原材料の調達で環境に配慮■ユニクロ
服のリサイクル、生産拠点情報の公開、衣料支援エシカルファッションは今後も更なる広がりが予想されます。言葉をただの謳い文句にせず、倫理的なものづくりがこれからも必要となるでしょう。
フードロス
「フードロス」とは、本来食べられるにもかかわらず捨てられている食品です。 国内のフードロスは令和3年時点で、523万トンとなり、前年度より1万トン増加しました。そのうち事業系フードロス量は279万トンもあるということから、食品関連事業者もさまざまな取り組みを始めています。
■スターバックス
店舗ごとの在庫状況に応じて、閉店3時間前を目処に食品を20%OFFで販売。その売上の一部を認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付。■国分グループ
レトルト食品・フリーズドライ製品の賞味期限延長、賞味期限の長い惣菜の開発■スシロー
Itを活用して販売動向の管理や需要予測によって廃棄食材を削減寄付付き商品の販売
寄付付き商品の販売も企業のエシカル・サステナブルな取り組みの一つです。私たち消費者がモノ・サービスを購入することで寄付につながるので、地球・社会にインパクトの大きい取り組みと言えるでしょう。
■森永製菓株式会社
森永チョコレートの対象商品1個につき1円を寄付するキャンペーンを実施し、カカオ生産国の子ども支援として寄付。
■Trilogy
対象のナチュラル・オーガニックコスメを購入することで、売上の一部を子どもの教育や女性の自立支援を行っている、ケニア・タンザニアで活動する団体「So They Can」に寄付。
■Ecoffee Cup
人体や環境に優しい素材でタンブラーを作るEcoffss Cup。さまざまな柄のタンブラーを販売している中で、オラウータン柄のタンブラーの売り上げの3%が「緑の回廊プロジェクト」に寄付
身近な企業も実践していることが多いので、購入する際はぜひチェックしてみてくださいね。
私たちが日常からできる小さいこと
私たちを取り巻く環境や社会の課題を解決するためには、企業の努力だけでなく、私たち個人が意識を変えて、取り組む必要があります。日常生活で以下のことを意識してみるといいでしょう。
1.エシカルな商品を選ぶこと
モノ・サービスを購入する際、「これは地球や社会のためにつながるもの(=エシカル消費)なのか?」と一度立ち止まってみるのもいいかもしれません。具体的に見るポイントとしては下記を参考にしてみてくださいね。 ・リサイクル、アップサイクルされた商品・購入することで寄付につながる商品
・素材や原料がオーガニックや無農薬な商品
・エシカルな認証マークがついている商品(フェアトレード認証・エコマークなど)
2.地産地消
地産地消とは、地元で採れたものを地元で消費するということ。 地産地消をすることで、食品・食材の輸送時のCO2を減らし気候変動対策に貢献できます。また、農業・水産業・畜産業などの地域の生産者を守ることにもなり、地域経済の活性化や伝統的な食文化について理解を深められます。全ての食品を地産地消で賄うのは難しいかもしれませんが、積極的に地元や近隣の地域のものを選んでみてください。
3.脱・プラスチック
脱プラスチックとは、ペットボトルやビニール袋などプラスチック製品をできる限り使用しない取り組みのことです。最近はマイ箸、マイタンブラー、エコバッグを使用する人が増えてきましたね。せっかく購入するなら、自分が気に入ったものや、質の良いものを「長く」使うことが地球に優しい行動と言えるのではないでしょうか。最近注目を集めているタンブラー、カトラリーをご紹介しますのでぜひチェックしてみてくださいね!
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いかがでしたか? エシカル・サステナブルは若干の意味の違いはありますが、どちらも地球・社会をより良く発展させるために考えられたものです。「私一人の取り組みで世界は変わらない」ということはありません!私たち一人一人の取り組みが明日の未来を作っていきます。緑美しい地球、そしてこれから生まれてくる子供たちのために、ライフスタイルに少しずつエシカル・サステナブルを意識した行動をぜひ取り入れてみてください。