アップサイクルとは?意味とアップサイクルを活用した商品をご紹介!
目次
環境問題が叫ばれる現代、単なるリサイクルではなく「アップサイクル」に注目が集まっていることをご存知でしょうか?人々が日常的に廃棄しているものが、実は新たな価値を持つ製品に生まれ変わるのです。本記事では、アップサイクルの意味を詳しく解説し、実際にアップサイクルを活用した商品を紹介することで、その魅力と重要性をお伝えしていきます。
|アップサイクルの定義
アップサイクルとは、廃棄物や不要品に新たな価値を見出し、新しい商品や目的で再利用することを指します。この概念は持続可能な社会を実現するために重要な役割を果たしています。アップサイクル製品の具体例を知ることで、日常生活での選択肢も広げることができます。
リサイクルとの違い
アップサイクルとリサイクルの違いは、その取り組み方と目的にあります。
アップサイクルとは、廃棄物を新たな価値ある製品に変換するプロセスを指します。これは、単なる素材の再利用ではなく、廃棄物を昇華させて新しい価値や用途を持つ製品に転換することを目指しています。リサイクルは、使用済みの素材をそのまま再利用またはリプロセスして新しい製品にする方法です。このため、リサイクルでは元の素材の品質を完全に維持することが難しい場合もあります。リサイクルの典型的な例としては、ペットボトルが溶解されて新しいプラスチック製品に再形成されることが挙げられます。
アップサイクルでは、廃棄物に対してより高い付加価値を与えることを目指します。資源の最大限の有効活用を目指している点がリサイクルとの大きな違いです。アップサイクルによって、新たな価値を創造することで環境負荷を軽減しながら、持続可能な社会の実現を目指しています。企業や消費者にとっても、アップサイクルはエコなサステナブルな取り組みとして広がりを見せており、環境問題に配慮しながら新しい生活スタイルを提案する手法として注目されています。
リデュースとの違い
アップサイクルとリデュースは異なる環境保護のアプローチです。アップサイクルは既存の材料を価値のある新しい製品に変えることを目的としていますが、リデュースは資源の使用を減らし、廃棄物の量を減らすことに焦点を当てています。例えば、アップサイクルは古いTシャツをバッグやクッションに改造することを指し、リデュースは使い捨てプラスチックボトルを避けて再利用可能なボトルを使うことです。アップサイクルでは既存資源の再評価によって新たな価値を創出するのに対し、リデュースは資源の消費そのものを減らす方針です。
アップサイクルの反対語のダウンサイクル
ダウンサイクルという言葉をご存じでしょうか?ダウンサイクルとは、素材の価値が低下するプロセスを指します。これはアップサイクルとは対照的な概念であり、ダウンサイクルでは素材が再生される際に元の用途とは異なる低価値の製品に変換されます。例えば、プラスチックボトルがリサイクルされてファイバーに加工され、カーペットや衣類の一部に使用されるケースが典型です。このファイバーは再度プラスチックボトルに戻すことができず、より価値の低い製品として新しいライフサイクルを迎えます。
ダウンサイクルのプロセスでは、素材の使用範囲や寿命も短縮されますが、循環利用を助ける一方で、元の価値を保つことは困難です。この点で、アップサイクルとは明らかに異なります。アップサイクルは素材に新たな価値を付加し、それを最大限利用することによって、サステナブルな未来を実現しようとするアプローチです。一方、ダウンサイクルは素材が使用後に行き場を失うことを避けるための、比較的短期的な解決策と言えます。
ダウンサイクルはリサイクルの一種であり、素材を焼却やゴミにせずに再利用する点では環境負荷の軽減に寄与します。例えば、木材の端材をチップにしパーティクルボードとして再利用する方法などが挙げられます。このように、再生利用されるものの新たな価値が低いために、経済価値としてはやや劣りますが、持続可能な社会に向けた重要な手段であることは確かです。
|アップサイクルのメリット
ここからはアップサイクルがもたらす具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
アップサイクルは廃棄物を価値のある商品に生まれ変わらせることができます。廃棄物を再利用することで新たな資源を節約し、環境負荷の軽減につながるからです。例えば、使用済みプラスチックボトルを使った再生素材から新たな衣類やアクセサリーを作り出す企業が増えてきています。また廃棄物の発生を抑えられ、資源の再利用を促進するため、持続可能な社会づくりに大きく貢献できます。アップサイクルは個人レベルでも簡単に始められ、環境に優しい生活を奨励します。
ビジネスチャンスも大きく広がります。近年、消費者が環境保護に強い関心を持つようになり、サステナブルな商品への需要が高まっています。多くの企業がアップサイクルを使った製品開発に取り組み、エコブランドとしての地位を確立しています。アップサイクルにより差別化できるため、ブランドイメージの向上にもつながります。
アップサイクルとSDGsの関係
アップサイクルは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する重要な方法です。なぜなら、アップサイクルは「つくる責任、つかう責任」(SDGs目標12)や「海の豊かさを守る」(SDGs目標14)など、資源の持続可能な利用や環境保護に直接関与しています。例えば、古着をリメイクすることで新たな商品を生み出し、資源の無駄遣いを減らすことができます。また、プラスチックの廃材を使って新しい製品を作ることで、海洋汚染を減少させる助けになります。
SDGs達成に向けて、アップサイクルを生活やビジネスに取り入れることが推奨されます。企業も積極的にアップサイクルを採用し、サステナビリティを実践することで、エシカルな経営を推進し、環境への負荷を削減しながら消費者に新たな価値を提供しています。
|アップサイクルの具体的な事例を紹介
ここからはファッションやインテリア業界での具体的なアップサイクルの事例を紹介します。
ファッション・衣類のアップサイクル
ファッション業界でも持続可能な未来に向けて、アップサイクルに取り組む企業やブランドが増えてきています。
ファッション業界では大量生産・大量廃棄による環境への負荷が深刻化している中で服のアップサイクルは生産や処理過程で発生する温室効果ガスを削減することができます。また意外と知られていないですが、服1着の生産に2000L以上の水が使われているといわれています。アップサイクルは廃棄物を減らすだけでなく、新しい製品を生産するために必要な資源やエネルギーを減らすことができます。
・古着リメイクや アパレル業界の取り組み
古着や余った生地を再利用することで資源の消費とコストを抑えるなど、多くのメリットをもたらします。
例えば着なくなった服を回収し、新しいデザインの商品としてリメイクするケースも増えてきています。思い入れのある服を使い続けられるだけでなく、同じものは一つとしてない、自分だけのオリジナルという点も製品の付加価値に繋がります。
・切れ端・端材を使用した商品
切れ端や端材を活用して新商品を作り出す取り組みには、大きな価値があります。
ファッションブランドでは持続可能なビジネスモデルの実現に向け、余った生地や布の切れ端を再利用して新しい小物やアクセサリーを作成するプロジェクトが注目されています。
環境に優しいだけでなく、消費者からの信頼が寄せられる傾向があり、結果として売上やブランド価値の向上にもつながります。
これにより、製品のバリエーションが増え、消費者に新たな価値を提供できます。
家具やインテリア、ガラスのアップサイクル
家具のアップサイクルでは、古い家具や使い古した木材を使用して新しいアイテムを作り出します。インテリアのアップサイクルには、古い装飾品やホームアクセサリーの再利用が含まれ、ユニークで個性的な空間が創造されます。
ガラスのアップサイクルも非常に人気で、古いワインボトルを花瓶にしたり、ガラスの破片を利用してモザイクアートを作ったりすることができます。それぞれの方法には創造性が求められ、世界中でさまざまな取り組みが進んでいます。また、アップサイクルされた家具やインテリア、ガラス製品は一種のアートとしても評価されています。
・インテリア業界での取り組み
インテリア業界でもアップサイクルが取り組まれています。これは、インテリア業界が大量の廃棄物を生み出しがちであり、持続可能な環境作りが求められているためです。例えば、古い家具や廃材を使って新しいデザインのインテリア製品に変えたり、リサイクルされたガラスや金属を使用して新しい製品を作るプロジェクトも行われています。アップサイクルされたインテリアアイテムは独自の魅力を持ち、エシカルでサステナブルな消費をスタイルに取り入れたい人々から高い支持を受けています。
|アップサイクルを取り入れるブランドと企業
環境に配慮した持続可能なビジネスモデルとして、アップサイクルを採用する企業やブランドが増えています。消費者の環境意識が高まる中、持続可能な取り組みを示すことが企業やブランドの信頼性向上とアピールポイントになります。ここではさまざまな分野でアップサイクルを取り入れているブランドや企業を紹介していきます。
ANA
日本の航空会社の代表の一つのANA。
古くなった整備士の作業着をトートバッグにしたり、廃棄部品をアップサイクルガチャ「ANA CAPSULE」というガチャガチャで販売したりと、さまざまなアップサイクル活動を展開しています。
Relier81(ルリエエイトワン)
京都を拠点とする「Relier81」。使われずに眠っている着物や帯を使用し、ウィメンズシューズを中心にカタチを変え、再び価値のあるアイテムとして繋いでいくアップサイクルブランドです。日本の伝統文化としては廃れつつある「着物」産業を永く残していくために、時代に合わせカタチに変えて提供。日本のみならず海外へも発信し、世界中から愛されるブランドを目指しています。
upcycle interior
「upcycle interior」は、アップサイクルされたインテリアのみ、全国のデザイナーやブランドから選りすぐり販売しているセレクトショップです。自社でも、使わなくなった学校の机や椅子などの備品をデザインの力によってアップサイクルする活動も行っています。
|アップサイクルの商品を買うなら通販でお取り寄せがおすすめ!
アップサイクル商品を購入する際には、通販でのお取り寄せが一番便利です。自宅にいながらさまざまなアップサイクル商品を簡単に探し購入することが可能です。地球環境を守るために、持続可能な消費を実践し、一歩進んで行動しましょう。
①ロスフラワーを使用したソイキャンドル
規格外など、さまざまな理由で生花店の店頭で販売されなくなった花。その花を適正な価格で買取りドライフラワーにし、その後キャンドルとしてアップサイクルされたアイテムです。原料は全て植物由来のものを使用。優しい香りと炎の揺らぎをお楽しみいただけます。
②アップサイクルから生まれた2種のチーズケーキ6個セット
エシカルチーズケーキ専門店「cheesecake lab seed」が手がける瓶で楽しめるチーズケーキセット。不揃いであったり、少し傷がついてしまったり、規格外になってしまったフルーツを、チーズケーキのソースにアレンジすることでフードロスを抑えています。フルーツの甘みと濃厚チーズクリームは相性抜群!
③ガラス端材のアップサイクルから生まれたピアス・イヤリング「マユ」
耐熱ガラスメーカー「HARIO」が生み出す、マットな質感が特徴のガラスピアス。原料にであるガラスの砂に、一部HARIOの工場で製品化されなかったガラスを混ぜて作ることで、資源を無駄なく活用しています。
④ブナの木を再利用したキャンドルスタンド
ブナの木は、飛騨高山で取れる木の一種ですが、扱いずらさ・色味により嫌煙されがちな素材だそう。それを解決すべく、”黒染め”しクラシカルなツートンのキャンドルスタンドとして仕上げられました。どんなテーブルにも馴染み、空間を華やかにしてくれます。
|アップサイクルが注目される背景と日本の状況
アップサイクルは環境保全の一環として世界中で注目を浴びており、日本でもその重要性が増してきています。
アップサイクルが注目される理由の一つは、持続可能な社会を構築するためには資源の有効活用が必要不可欠だからです。また、日本国内では資源の限界と環境への影響が問題となっていることも注目の背景にあります。具体的には、服の大量廃棄、食品ロス、使い捨てプラスチックゴミなどが挙げられます。これらの現状を踏まえて、アップサイクルがどのように社会にポジティブな影響を与えるのかを詳しく見ていきます。
服の大量生産・大量廃棄問題
18世紀末から始まった産業革命は生産手段の機械化・効率化をもたらし、製品の「大量生産」を可能にしました。しかし現代のファッション業界は、短期間で大量の衣類を製造し、消費し、廃棄するというサイクルが広がっているため、大量の資源とエネルギーが消費され、環境に悪影響を及ぼしています。具体的には、大量に製造され、短期間で廃棄される衣類が増加することで、焼却に伴う二酸化炭素(CO2)排出や埋立地の逼迫といった問題が発生しています。また、大量生産は、貧困や労働搾取などの人権問題まで、様々な問題を引き起こしています。
これからの世代に持続可能な未来を残すためには、根本的な対策が求められています。衣類の生産から廃棄までのサプライチェーン全体での取り組みや消費者の意識向上が不可欠です。
食品ロス
食品ロスを減らすことで、環境への負担を軽減できます。なぜなら食品ロスを出すことは、運搬や焼却時に大量の二酸化炭素を排出することに繋がっているからです。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は472万トン。 これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量とほぼ同等と言われています。
必要な分だけ購入し、食べられる分だけ注文するなど、まずはできる所から食品ロスを減らし、持続可能な未来を目指しましょう。
使い捨てプラスチックゴミについて
使い捨てプラスチックゴミの問題は、環境に深刻な影響を与えています。なぜなら、使い捨てプラスチックが分解されるには非常に長い時間がかかり、その過程で有害な化学物質が放出されることがあるからです。例えば、海に流出したプラスチックが海洋生物に誤食されるケースが非常に多く、これが原因で多数の海洋生物が死亡しています。また、これらのプラスチックが分解される過程で生成されるマイクロプラスチックが食品チェーンに入り込み、人間の健康にもリスクをもたらしています。ある研究機関では、週にクレジットカード1枚分を摂取していると発表しています。
使い捨てプラスチックの削減を進めることが急務です。リサイクルやアップサイクル、リデュース(削減)などの取り組みを強化し、個人や企業が一体となってこの問題に取り組む必要があります。私たちにできる行動としては、使い捨てプラスチック製品の使用を減らし、再利用可能なアイテムを選ぶことが重要です。例えば、マイ箸・マイタンブラーを用意したり、プラスチック容器の代替品として、リサイクル素材や植物由来の素材で作られたアイテムを選ぶのも良いでしょう。これにより、持続可能な未来への一歩を共に踏み出すことができます。
|アップサイクルのデメリットと課題
アップサイクルにはたくさんのメリットがある一方、デメリットや課題も挙げられています。デメリットの一番の要因として挙げられているのは、原材料の供給が不安定なところです。アップサイクルの原料は、本来廃棄される予定だったものを使用しています。安定した原料供給がないと、生産も難しくなり、販売やコスト面でも影響がでると言えるでしょう。アップサイクルに取り組む企業は、その点も考慮し、付加価値をつけた販売戦略が必要となります。
政府や地域の取り組み
デメリットや課題がある中で、アップサイクルを推進していくには、政府や地域社会の取り組みが重要な役割を果たしています。公共政策や地域のプログラムを通じて、資源の無駄を減らし、持続可能な社会の実現を目指すことを伝え続けることが大切です。例えば、日本の一部の自治体では、アップサイクル素材を使った商品開発コンテストを開催し新たなビジネスを奨励しています。また、補助金を提供して、市民がアップサイクルプロジェクトを始めるサポートをしています。アップサイクルは政府と地域が一体となって推進することで、より効果を最大化できます。
|アップサイクルを生活に取り入れよう
アップサイクルにはまだまだ課題もありますが、より良い未来の実現に向けて廃棄物を減らす取り組みは大切です。最近では、アップサイクル商品を開発する企業も増え、とても付加価値が高いものも多く見られます。何かを購入するときは、アップサイクルをはじめ、リユース・リサイクル・リデュースなど循環により生み出された商品を選ぶなど、まずは身近にできることから始めてみてください。